2011-07-29

お酒の神さま

先週の日曜から今週月曜にかけて、
伊東豊雄建築のまつもと市民館の裏手にある
深志神社……通称「天神さま」で天神祭りがありました。



でも今回書きたいのはそのことではありません。
実はこの神社の境内には、小さな神社が複数あって、
そのひとつに「松尾神社」があるのですが、
ここでご案内したいのはその小さな松尾神社の方です。

その起源は京都・嵐山の「松尾大社」。
かの作庭家・重森三玲(しげもりみれい)のデザインによる
「松風苑」でも知られる、大きな大きな神社です。
実はわたくし(企画編集部Ö)はかつて、この庭を含む重森作品の取材のため、
同神社を訪れたことがあります。

その日までぜ~んぜん知らなかったのですが、
この松尾大社に祀られているのはお酒の神さま。
お酒造りに携わる人がお参りに訪れる、
”酒づくりの聖地”的な存在なのでした。

しかも造る人だけじゃなく、呑む人にも御利益が。
というのもそこで売られる御守りのなかに、
その名も「服酒御守」というのがあるのです。
以下はそのお札に書かれた“おことば”。

酒は神授の生薬。服して心を乱さず、体を損せず、礼を失わず、
和を破らず。適時適量慎んで用ひざれば久しき堪えざるべし。

う~ん、耳が痛い。……かくして酒呑みÖは、
この御守りを今も大事に懐に忍ばせております。
御利益を受け続けるべく、
「毎年お参りしなくちゃ」なんて思いつつ、忙しさにかまけて行けてない……。
いかんなあと思っていたら、
何と松本に、しかも自分に縁の深い深志神社の境内に
その分社があったのです!
いやあ、びっくり。これならいつでもお礼参りに行けるではないか。

というわけで松本に住む酒呑みのみなさん、
御利益を期待して、お参りしみてはいかがでしょうか?(Ö)

2011-07-26

幻……ではなかった

季節が春を迎えてからしばらく、
近隣探検の意味もあって、朝に散歩をしておりました
(現在は暑いので中止、代わりに夜歩くことも)。

そんなある日、住宅街で見つけた小さなお稲荷さま。
名前を見ると「美術稲荷」とある。
おお、美術を守るお狐さまがいるのか、と何だか感動。

しかし、なぜかそれ以来、
その稲荷にたどり着くことができずにいたのです。
この辺りだったような、と見当をつけて歩いても
どこにも赤い鳥居が見当たらない。
ううむ、キツネに化かされたか……。

そう思っていたら先日、偶然の再会を果たしました。
やはり幻ではなかったよお、とホッとひと息。


由来書きを読むと、美術、芸術の守り神というわけではなく、
ご神体である白狐が美しく、
しかも術にすぐれていたことがが名前のモトでした。


松本にはこの美術稲荷みたいに、
「こんなところに?」と思うような住宅街などに、
小さな祠や稲荷があったりします。
このサイトでも、そんな小さな守り神たちの住まいを探訪した様子が見られます。
おお、美術稲荷も載っているではないか!

その美術稲荷を守っている猫にも会った。
昼寝の邪魔をしてすまん。(ÄwÖ)


2011-07-19

強いぞ、松本城



海の日を含む三連休の真ん中の日曜日。
に参加してきました。

背景にあるのは、6月30日に松本市を震源とする
マグネチュード5~6の地震が発生したこと。
「松本城にもヒビが入った」と声高に報道され、
あたかも「やられた! もうダメだ」という印象を与えましたが、
いやいや逆ですわ。表面程度のヒビで済んだわけで、
松本城がいかに堅牢なのかがこれで証明されたんですよ……
ということを広く知ってもらうのが、今回のテーマというわけです。


太い梁がいたるところを貫く城内部。
ツアーでは普段観光客が入れない部分まで潜入し、
建築構造の特徴をたっぷり見せてもらいました。

松本城は特にインテリアうんぬんより、
“いかに強固であるか”が追究された建物なのだなあ。
だって襖絵とかで彩られたゴージャスな部屋はほとんどないし、
全体的に質実剛健な印象。
ちなみに写真の梁に入っている金属の補強は、昭和の大改築で成されたもの。
時代が進むごとに、堅牢性が高まっているようです。


各種メディアでとりあげられた、乾小天守(いぬいのこてんしゅ)のヒビ。
しっくいの表面5mm程度に入っただけであることは、
実際見ればすぐわかります。
壁が揺れを吸収したために生じたわけで、いわゆる「よいヒビ」ですね。
建築を学んでいた人から聞いたのですが、
建築学的にはヒビにもいちいち名前があり、
しかも「よいヒビ」と「悪いヒビ」があるそう。
……また聞きのアバウトな話ですみません。

以前、また別の建築家から「城って建築史から冷遇されてて、
大学とかでも触れる機会がほとんどないんですよ」
という話も聞いていたのですが、なかなかどうして、
城建築はかなり考え抜かれた試行錯誤の結晶であることが、
今回参加してみてよ〜くわかりました。
建築構造の視点から松本城を見る、よき機会でございました。

おまけに、松本城の応援に来ていた「ひこニャン」や「アルプちゃん」に
会うこともできたわん。写真は手を引かれて歩く「あるくま」。


楽しかったな〜。(ÄwÖ)

2011-07-11

松本の七夕

月遅れ(=8月7日)で七夕を祝う松本。
7月に入りはじめた頃から8月初旬まで、
街の至るところに七夕人形が飾られています。

七夕人形……なじみのない人も多いかもしれませんが、松本市では、
願い事を書いた短冊の笹飾りより、男女1対の七夕人形の方がポピュラーです。

そしてこの人形には主に2タイプがあります
(厳密にはもっとバリエーションがありますが)。




ひとつはこの押し絵雛みたいなもの。城下町である松本では、
武家の子女の趣味として、こうした押し絵人形が発達したようです。





そしてもうひとつのタイプが、着物をかけて飾る衣紋掛けみたいな人形。
これまた押し絵職人によって発展したようです。


こうした七夕人形については、松本市の文化財を紹介するサイト「松本のたから
に詳しい記事があるので、興味のある人はのぞいてみてください。

いずれにせよ、あちらこちらの店先や家の軒下に
こうした七夕人形が飾られはじめられると、
「本格的に夏だわ~」と思えます。(ÄwÖ)